AMM @ 近江八幡 酒游館

AMM
2000/9/29
近江八幡 酒游館

この数年前にも来日していたAMM。前回は観に行けなかったので、喜び勇んで近江八幡へ足を運んだ。この酒游館は近江八幡の落ち着いた古い町並みのなかにひっそりと存在する、酒蔵を改造したライブスペース。オーナーの趣味でPSF系の渋い音楽のライブを定期的に行っていて、しかもここで作っている日本酒が飲み放題という、あり得ないような心地よい空間。客は多いとはいえなかったが、これくらいの方が観る方には良い。客の多さと音楽の質は関係がない。
会場はPAがないので、Keith Roweのギターアンプ以外の音は全て生音。向かって中央はドラムや様々なジャンクに囲まれたEddie Prevost。右にはKeith Rowe。彼のギターは解剖作業のようにテーブルに寝かされており、その周囲にはラジオや音具が散乱している。左のピアノの前にはJohn Tilburyが座る。夢のような光景だ。静かな町なので、演奏していないときは本当に引き込まれそうな静けさとなる。その静寂の中からPrevostのパーカッションの弓による摩擦音(当然リズムは叩いたりしない)と、Roweの(既にギターとはかけ離れた羽虫のような)電子ノイズとラジオが、相反しながらゆっくりと立ち現れる。そしてこの両者の音を結びつけるかのように、Tilburyが点描的なピアノを弾く。この三人の中では最も音楽らしい要素を持つTilburyのピアノであるが、ライブにおいてこれほど全体の流れを司っているとは思わなかった。繊細で豊穣な演奏。最後は全員が手を止め、静寂がしばらく続く。静寂を多く含んだ隙間の多い演奏にずっと耳を集中していたので、細やかな静寂の中の微細音に耳が敏感になっていることに気付かされる。PAなしの、こんなに静かな環境でAMMの演奏を聴けたことは、とても幸運な出来事だったと思う。

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