Karlheinz Stockhausen @ 天王洲 ART SPHERE

Karlheinz Stockhausen, Suzanne Stephens, Kathinka Pasveer, Hubert Mayer, Marco Blaauw, Antonio Perez Abellan
2005/06/24
天王洲 ART SPHERE

仕事をギリギリに切り上げ新幹線に飛び乗り、開演直前に何とか会場に到着。もともと時間にルーズな性格だが、今回ばかりはダメかと思った。クロークで荷物を預けて席へ急ぐ。場内はほぼ満員で、その客席中央に設えられたコンソール席に御大が鎮座している。なんといっても客が若い。バンドもののTシャツを着た奴や、レコ屋のビニール袋を下げた奴までおり、明らかにクラシックのルートじゃない客層が目立つ(自分を含む)。
そうこうしているうちに「リヒト・ビルダー」開演。モンドSF映画にでも登場しそうなオレンジ、緑、紫、青緑の奇天烈な衣装に身を包んだ4人の演奏者が登場。楽器はフルート、トランペット、バセットホルン、そしてテノール。舞台袖のカーテンの隙間にシンセ担当の演奏者もいる。楽器にはマイクが付けられ、これをシンセ担当者がリング変調していたのだと思う。Stockhausenはたまにコンソールをちょっと触るくらいだったらしい。それぞれの曜日にパート分けされた楽曲は音の響きを重視した印象で調性や展開の中心もなく、断片的に漂う感じ。単語の羅列に導かれて緻密な演奏(特殊奏法や舌打ちなども)が身振りを伴って演じられる。それら楽器音にひっそりと寄り添う電子音は、とても控えめでありながら絶妙に良い。分かり易い刺激がある訳ではないけど、ぼんやり眺めていると心地よい。40分もある譜面を暗記し演奏し切った演奏者のスキルには脱帽。
休憩を挟むということで、ロビーにて茶を飲む。席に戻るとステージ上には一つのライトが正面の壁に投影され、小さな白い円を形作っている。ステージ上には何もなし。シュトックハウゼンはコンソール席でサウンドプロジェクションを行う。いわゆる電子音楽のテープ上演のスタイル。
そのまま照明が落ちてスタート(ちなみに照明もStockhausenが操作)。場内は暗闇となり、舞台の壁のライトに意識を向けるか、目を閉じるかしかない。変調された少年の声と電子音の「少年の歌」。変調された音源と電子音と打撃音が攻撃的な「テレムジーク」。大音量でちゃんとした設備で聴くと、ホールの響きもあって、当たり前なんだけど結構印象が違う。新鮮な驚きというよりも、再発見があったと言うべきか。この前衛華やかなりし時代の尖った空気にうっとりする。それに比較すると、やっぱり近年の曲は丸くなったと思えた。終演後も拍手は鳴り止まず、Stockhausenは何度も壇上に上がり観客に応えていた。

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