Norbert Moslang+Gunter Mueller @ 名古屋 K.D. JAPON

Norbert Moslang+Gunter Mueller, Kuwayama-Kijima, 古橋栄二, Lethe
2004/4/20
名古屋 K.D. JAPON

初めて行った高架線下のK.D. JAPON。たまに上から電車の音が聴こえる…。この日のイベントは前半にパフォーマンス系、後半に演奏系という順番の模様。まずは桑山氏による Letheのサウンドアート・パフォーマンス。四つの鉄板が並べられ、その上にドライアイスを置いてゆく。その振動音は増幅されて空間を満たす。これが TNBの最良の瞬間ともいうべき、澄んだ金切り音ノイズで非常に美しい。一つ乗せてはしばらく聴き入り、下ろす。それを四回繰り返す。次は一度乗せたドライアイスをそのままにして、次のドライアイスを乗せるという展開。金切り音は重層的な音塊となり、あり得ない程の美しさを放つ。作家による作為性が希薄なところも良い。続いての古橋氏はダンスパフォーマンスであった。

Kuwayama-Kijima:
チェロとヴァイオリンによるデュオ演奏。一見即興かと思いきや、作曲されている模様。弦の軋み、揺れる弱音、微細な音の間を聴取させる演奏で、もっと良い場所で聴きたい内容だった。GunterのレーベルからCDが出ているのも頷ける。

Norbert Moslang+Gunter Mueller:
VOICE CRACKの片割れNorbert Moslangと、NACHTLUFTのGunter Muellerのデュオ演奏。共にフリージャズから出発しながら、ノイズ性を取り込んだ奇怪な即興演奏に至ったベテラン同士。使用楽器はMoslangは勿論エブリデイ・クラックド・エレクトロニクス(チカチカ光る発光体、それを拾って音に変換する機器、ラジオ等々)。Muellerはパーカッションではなくi-podとエフェクターであった。私は感情や反応や手癖が音を左右する類いの即興に対してそれほど興味がない。そんな中で例外的に私が面白く感じるのはVOICE CRACKやBORBETOMAGUSのような、ある意味ノイズシーンに片足を突っ込んだ即興演奏グループの存在である。即興音楽もノイズも出音には近いものがあるが、根本的に全く別種の音楽であると思う。その違いとは、即興音楽が「どのようになるか分からない」という理念を(予定調和に陥いる危険を孕みながら)掲げているのに対し、ノイズは「どのようなるのかは(ほぼ)見当がつく」ことにある。ノイズは意図された音のデザインであり、本質的にコンポジションに帰属する。適当な垂れ流しに思えても結果としての出音の傾向はある程度意図されているのだ。VOICE CRACKもBORBETOMAGUSも最終的な音は記名性が高く、一聴すれば立ち所に彼等の演奏であると分かる。さてそのVOICE CRACKの片割れであったMoslang、そして今回の相方であるMuellerの演奏はMoslangのサウンドカラーが強烈で、それ故にデュオは即興演奏的傾向が弱まっていたところが気に入った。彼のプリミティヴなエレクトロニクスの放つ金切り電子音はいかにも彼らしい軋む機械の悲鳴。反対にMuellerは即興演奏家らしくフレキシブルに対応し展開をまとめあげるポジションにいた。二人の初老の男性がにこやかに目配せしながら淡々と即興演奏する様は微笑ましい。デュオの後、インターバルを置いて桑山氏を加えてトリオでのセッションも行なわれた。会場のアットホームな雰囲気も含め、しみじみと聴き入れる良いライブだった。

Advertisements