Tony Conrad @ 京都 磔磔

Tony Conrad+Alexandria Gelencser, 山本精一+津山篤ユニット
1998/6/10
京都 磔磔

かなり記憶が曖昧な昔のライブである。このライブと前後して、飯村隆彦, Tony Conradの実験映画上映を西部講堂に観に行った記憶もある。その時は自分がここまで実験映画に深入りすることになろうとは思ってもいなかったが。

山本精一+津山篤ユニット:
山本精一と津山篤らによるユニットがオープニングアクト。メンバーはこの二人がギター(ベースだったかも)。そして外国人メンバーが二人加わる。一人はエレクトロニクス・ノイズで机の上にはエフェクター類。もう一人はドラム。こう書くと一見バンドっぽく、いかにも想い出波止場的な音楽が想像されるかもしれない。しかしこの日、ここで演奏された音楽はOff Site〜Erstwhile系の静寂の即興演奏を先取りするものだった。まず山本氏と津山氏のどちらか一人が不定形なフレーズを爪弾く。それは静寂のなかから浮かび上がり明確な形態を取ろうとするが、それは常にもう一人によって崩され、静寂の中に戻る。エレクトロニクスによるノイズ演奏は、LopezやGunterのような微弱音ノイズ。ドラムもAMMのPrevostのようにドラムの表面を擦る微弱音のみで一度もリズムなど叩かない。最初から最後までほとんど音がなく、静寂と無音が場を支配する。静寂系インプロも後年いろいろ観たが、やはりこの日の四人の演奏は素晴らしかったと思う。

Tony Conrad+Alexandria Gelencser:
明滅のみから成るフィルム作品「Flicker」で知られる著名な実験映像作家にして、永久音楽劇場に加わったドローン・ミニマリストでもあり、FAUSTともコラボでタメを張り、ヴェルヴェッツ前身バンドの一員でもあったという凄すぎる経歴の持ち主であるConrad。興奮を押さえながら、準備にかかるスタッフの様子をぼんやり眺める。すると、なんと天井から床までステージを遮断するように大きな白い布が貼られてしまった。そして照明によって二人のシルエットが布に投影される。どこか彼の映像作品が連想される。演奏の方はというと、言うまでもなく電気ヴァイオリンと電気チェロによる徹底したドローンミニマル。分厚く軋む倍音の快楽に意識が混濁。ただその豊穣な音のテクスチャーと向かい合う。何とも凄まじく高純度な音楽ばかりの一夜だった。

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