STREICHER – Legion St. George


(Freak Animal Records/LP)

MERZBOXで有名なオーストラリアのノイズレーベル”Extreme”、その元主宰者であるUlex XaneによるSkinhead White Power Electronics。Freak Animalよりレッドヴィニールにて再発。オリジナルテープは、欧州の政治的パワーエレクトロニクス勢による闘争が本格化するのに歩みを合わせたかのように、94年に自身の”Zero Cabal”よりリリースされている。
まずA面であるが、タイトルに見られる極端な思想と、その具現化としての腐敗ノイズの渦にやられる。そのサウンドはザラザラとしたヤスリのような感触の雑音、判別不能な人声、不穏な戦時音源コラージュ、プリミティヴな発信音ノイズによって絶妙に構成されている。いかにもなモチーフを使用しながらも、安易に衝動の発散に向かわず、ドロドロと鬱屈してゆくところが何とも渋い。そしてB面の大半を費やす「Streicher Nihil Action-Bootkickers S.N.A」は本作の白眉。全編にわたって暴動のようにガラスや鉄板等の各種物品をブーツで蹴り回し、吠える。狂躁によりタガの外れた理性が、行為とそれにより発される雑音もろとも転げ落ちながら崩壊する。凄まじいテンションのジャンクノイズであるが、その行為を駆動させる原動力、動機、思想の極端さと歪さを思えば、この雑音は「ただ単に暴れただけのノイズ」には回収し得ない根源的なノイズ性を持つものとなる(モチーフは違えどハナタラシもそうであったはずだ)。
STREICHERも本気で極右的主張を掲げているのか、あるいはノイズの伝統に従い反社会的シンボルを使用しているだけなのかが明確に断定できないユニットではある(スローガンは”Nihil reality, no philosophy. Noise of mass destruction”)。しかし、このユニットの分かりやすい極右スキンズのイメージと、陰鬱で凶暴極まりない80年代ノイズを結びつけた手法は、他に類を見ない特異なアプローチであった。少々古くさい考え方を持ちつつ基本的にノンポリティカルな私であるが、ノイズミュージックがノイズ性の顕現として現実社会の事象をモチーフとするのには関心を持たざるを得ない(勿論あらゆる差別に私は同意しない)。これらは私の生きている現実社会にある事象なのだから。

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