MUSLIMGAUZE – Sarin Israel Nes Ziona


(Staalplaat/CD)

Muslimgauzeの晩年の作品。冒頭から攻撃的なBPMの四つ打ちで始まる。一聴すればフロア寄りテクノの文脈でも充分使えるような音楽形式ではあるが、やはりそこはMuslimgauze、このようなスタイルではあっても、あくまでインダストリアルの系譜にあることを強く感じさせるノイズ度の高いダブな音響処理も健在。四つ打ちにアラビア旋律と曖昧模糊とした人声サンプル等がまぶされ、コラージュノイズ・ダブ・中近東テクノとでもいうべき独自世界が屹立する。これらの音要素を問答無用で貫通する強固なリズムが堪らない高揚感をもたらす。ゆったりとしたパーカッションのリズムによるトラックも、ハードなトラックが多いなか、よい小休止となっている。
Muslimgauzeといえば、アラブ支持の立場を取って活動を行ってきたことで知られるが、本作のタイトルは、Muslimgauzeサイトでのコメントによれば、イスラエルのNess Ziona市(ここにはIsrael Institute for Biological Research/IIBRが存在する)、およびエル・アル航空1862便墜落事故に由来する。また、ジャケットはサダム・フセイン大統領の肖像のあしらわれた腕時計であり、このようなアートワークからくる、MuslimgauzeことBryn Jones個人のメッセージの明確さも本作の重要な要素であろう。この姿勢は政治的パワーエレクトロニクス勢とも相通じる(ちなみに私はノンポリであるが)。Bryn Jonesの死後、2002年のリリース。

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