Jim O’rourke – Happy Days


(Revenant/CD)

96年の作品。チェンバー・ドローンあるいはエレクトロニクス・ドローンを構成物とすることにより、大きなスケールでの循環を得意としていた初期の仕事を経て、オルークはこの作品で、アコースティックギターとハーディーガーディーのみを用いている。孤立したアコースティックギターと密集したハーディーガーディーの対比、それは帯解説文にあるようにジョン・フェイヒーとトニー・コンラッドの関係性を探る仕事である。

冒頭の10分はゆったりとしたアコースティックギターの演奏で、ジョン・フェイヒーを想定した、ミニマルな弛緩したメロディを黙々と爪弾く。その後、トニー・コンラッドを想定した、ハーディーガーディーの持続音へ移行してゆくという展開。この重なり合った二つのレイヤーは、風景が移り変わるように、ゆっくりとした速度で入れ替わる。これらのレイヤーは、個別に見ると両者ともに音の構造(反復と持続、そのなかでの漸次的変化)は類似している。そのコンセプト的な対比も興味深いが、その一方で後半のハーディーガーディーが産み出すドローンの凄まじさも特筆しておきたい。密集したぶ厚い軋みは、例えばOrganumの金属摩擦ノイズを凌駕するほどである。ノイズ的聴取という観点からみても、この音の豊穣さは絶品。ガリガリと引っかかる軋み音と多層的な持続音が一際大きくなる39分以降は、手回しハンドルの力の入り具合がリズムのようにも聞こえる。そのままドローンは更に上昇してゆき、やがて消えてゆくのだが、その中から再びアコースティックギターのレイヤーが浮かび上がり、大きな循環は最後に大円団を迎える。間違いなく彼の最良の仕事だろう。オルークにとって重要な2つの要素、ミニマルミュージック(広義で取るならばアメリカ実験音楽)とカントリーブルースという、アメリカ的な歴史背景に裏付けられたものの結合。さらにそれを「幸福な日々」と題するセンス。これだけは聴いて欲しい。

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