ILDJARN – Det Frysende Nordariket


(Norse League Production/CD)

EMPERORの前身バンドTHOU SHALT SUFFERにも参加していた人物、ILDJARNことVidar Vaaerによる一人プリミティヴブラック。プリミティヴブラックと呼ばれる音楽の中でも間違いなく最も極端なサウンドを出しており、もはや全くメタルの範疇からはみ出ている。意図的なサウンドデザインとしての極端な劣悪音質。洗脳のように延々繰り返されるミニマルな演奏(展開は殆どなく、突然始まり突然終わる)。ブラックメタルの音楽形式を保ちながら、ノイズを取り込み捩じ伏せている。安直にノイズの領域に踏み込んだブラックは、多くの場合ノイズとしては案外ありきたりなものとなる。それに対して、この崩壊寸前の絶妙なバランスの維持は全くもって素晴らしい。ジャンルの呼称がこのようなアヴァンギャルドな音楽に出会う機会を奪っているのだとしたら残念だ。アヴァンギャルドロック、ノーウェーヴ好きな方にこそ薦めたい。
本作は93〜94年の間にリリースされた7インチと2本のデモをまとめた95年の編集盤。ヴォーカルとして本人の他にNidhoog、そしてかつての仲間であるEMPERORのIhsahnがゲストで参加している。#1〜4は7EPの曲でヴォーカルはNidhoog。フックのあるリフが繰り出される。そして1stデモである#5からは更に極端な音質。ヴォーカルはIhsahnだが、なんといっても彼のヴォーカルが凄い。何がそんなに憎いのか、常軌を逸した怒声、絶叫の連続。ひたすら延々延々続く単調なミニマル演奏と、Ihsahnのヴォーカルのコンビネーション。そのなかでもペナペナな演奏による何ともいえない倦怠感と哀愁を含んだリフの#10が特に異様。そして#13からはVidar Vaaer本人ヴォーカルの2ndデモになる。もはやドラム音は機関車の蒸気音か昆虫の羽音。凄まじい音質であるが、勿論これも意図的なものである。ヴォーカルなしで淡々とミニマルな演奏が繰り返されるインストトラックも収録。

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