ILDJARN – Ildjarn is Dead


(Northern Heritage/CD x 2)

ILDJARNの最終作「Ildjarn is Dead」。本作は初期の再発済のテープ2本を収めたDisc1、貴重なマテリアルを集めたDisc2から成る2枚組。Disc2には最初のテープである「Seven Harmonies of Unknown Truths」(何故かBURZUMのブート「Svarte Dauen」に収録されてしまったトラックも含んでいる)のオリジナル&バージョン違いや、不気味なノイズトラック、鎮魂歌のようなシンセアンビエントまで幅広く収録。
ブラックメタル、特にプリミティヴブラックには殆ど一人で音源制作をする者が多々おり、そのようなブラックメタルの特有の制作スタイルこそが、この界隈にアンビエント作品を生み出して来た要因であったと思う。北欧の雪に閉ざされたスタジオで、孤独に延々と繰り返されるロウで劣悪な音響加工。楽曲よりも、断片化した音楽の残骸を拡大し、曲展開よりもハーシュな音像を前面に押し出す。同じマイナー音楽同士、そこからノイズミュージックまでの距離は後一息である。そうして秋田昌美の指摘どおり、(音楽の形式においても反社会的アプローチにおいても)ブラックメタルはWHITEHOUSEの領域へと至る。例えばILDJARNとWHITEHOUSEの前身COMEを比較すると、その類似がよく分かる。
何故、ILDJARNことVidar Vaaerが元THOU SHALT SUFFER(EMPERORの前身)のメンバーという経歴を持った人間でありながら、ノイズをも凌駕する極端な逸脱を成せたのかについて不思議に思えてならず、彼の作品を追って来た。しかし彼は本作で完全に活動を終了させてしまった。その態度は潔いというよりも、音楽及び人間社会への決別として映る。菜食主義者であり、自然を崇拝し、人間を嫌ったVidar Vaaerは、今頃はインタビューで語った通り、雪に閉ざされたノルウェーの奥地で隠者として暮らしているのだろうか…。

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