OSTARA – Kingdom Gone


(Eis&Licht/CD)

ネオフォークというよりも、このバンドはダークポップと呼称した方がしっくりくるRichard LeviathanらによるイギリスのOstara。ちなみにLeviathanはForesta Di Ferro(John Murphy, Marco Deplano, Richard Leviathan)にも参加する。朗々とした歌唱の甘みのあるヴォーカル。物悲しさを感じさせつつ、ポップなメロディが心地良い楽曲群。ノイズ・インダストリアルとは形式的にかすりもしない、一般にもアピールするようなポピュラー音楽である。しかし扱う題材はやはりネオフォーク系列らしい。しかもDIJと同じく三島由紀夫に対しての並々ならぬ関心がある模様で、「君が代」から突如クラフトワークのような軽快なテクノポップに突入する「Tatenokai」という異色曲まで収録されていたりもする。欧州の復古主義者が音楽(=文化)に思想の結実を求め、やがて異国の同志としての三島由紀夫に辿り着き、これを我々日本人が極めて捩じれた経路を通して聴く。彼らのような音楽の場合、その歴史への熱意が強ければ強いほど、ノンポリ一般層との差異が大きくなることは否めない。この音楽を聴いて共感するのか、差異の大きさをキッチュとして楽しみ聴取するのか。それによって明らかになるのは聴取者の過去への向き合い方であると言える。