秋山邦晴 – 秘蔵テープ作品集1


(Edition Omega Point/CD, MCD-R)

実験工房のメンバーであり、クロストークインターメディア(69)の企画にも関わった、現代音楽批評家として著名な秋山邦晴は、実験映画マニアからすれば何といっても松本俊夫の「石の詩」の音響担当として知られる(他に秋山は「アニメーション三人の会」の音楽も担当している)。わずか10日で松本の映像構成と平行して進められた石の音によるミュージックコンクレートは、寡黙な映像との相乗効果をもたらすものであった。音楽評論家自身が密かに前衛的音楽を制作していたという飛躍は、瀧口修造を思い起こさせるスタンスである。良い意味でのアマチュアリズムと研磨された方法論先行の音楽は、本職の音楽家の作品と同じくスリリング。このCDでも秋山の「Environmental Mechanical Orchestra」「日生劇場のデモンストレーションの記録」「Music for H.Bomb」といった作品が収録されている。「Environmental Mechanical Orchestra」は「空間から環境へ」(66)で展示された音響装置の録音物である。ブヨブヨとうねる不気味な変調された金属音が淡々と継続する。他の2作品はテープによる音響作品。音色の探求が優先された、初期の電子音楽~テープ音楽らしい、ぶつ切りの断片の羅列による構成。特に「Music for H.Bomb」のノイズに近い無機質かつ即物的なささくれた音の感触がフェチ心をくすぐる。ボーナスで「テープ音楽素材音源集」までも付いた、封印された60年代の遺産である。

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