DEATH IN JUNE – Live in Italy 1999


(Neroz/DVD)

99年イタリアでのライブ。スモークの中に浮かび上がるマスクにて顔を覆った3人。その姿は異様な存在感を放つ。ダグラス・ピアースはヴォーカルと、曲によってはスタンディングドラムも叩く(中盤よりアコースティックギターも)。Der Blutharschのアルビン・ユリウスは主にキーボード担当で、彼も曲によってはスタンディングドラムを叩く。ジョン・マーフィーはパーカッション、スタンディングドラムを専任。何とも豪華極まりない編成。アルビン・ユリウスはこの数年前からDIJのアルバムに参加したり、DIJ周辺人脈との親交を深めており、Der Blutharschの活動へのフィードバックも大きかっただろうと思われる。(80年代ノイズ・インダストリアルと現代欧州ヘヴィーエレクトロニクス。この両者を繋ぐバンドとしてDIJは重要なポジションに位置する気がする。)
前半はギターを用いない選曲で、バックトラックにキーボードと行進曲のようなミリタリードラム連打とヴォーカルが加わる演奏。ひたすら重々しい荘厳な展開。ダグラス・ピアースの白仮面と迷彩服という出で立ちから、ある種、宗教儀式的な印象も受ける。そして中盤にてダグラス・ピアースが白仮面を外し、アコースティックギターを抱え「Little Black Angel」を奏で出し、ここで空気ががらりと変わる。窓が開け放たれ、澄んだ風が吹き抜けるように。しかしその音楽の持つ感触は変わらない。終末を前にして歌われる哀歌のようなフォークソング。それは明るく、軽快で、勇ましく、寂しい。繊細で味わい深いネオフォークが次々と繰り出される至福の選曲が続く。そして最後は唸りを上げる手回しサイレンにミリタリードラム連打にてステージを締めくくる。虚無、全体主義、同胞愛、ファシズム、ペイガニズム、ミリタリー嗜好等々、それらのような記号が渾然一体となったライブである。
さらにクロアチアで催されたレイヴパーティーのPVも収録。この曲ではダグラス・ピアースのヴォイスが使用されている。こういうレイヴカルチャーにゴシック〜ダークウェーブ〜インダストリアルが繋がる流れはあまりよく知らないので、どういう経緯でこうなったのかは分からないが、レイヴカルチャーのただれた退廃的雰囲気にその声が奇妙にマッチしている。

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