Mark Fry – Dreaming with Alice


(Arkama/CD)

休日の昼下がりに聴きたい現実逃避盤。72年リリースの平和過ぎる儚いアシッドフォーク。このマーク・フライなる人物の詳細は不明であるが、スタイルとしてはニック・ドレイクにも似た穏やかなアコギによるアシッドフォークをやっている。コーラスやフルートによるアレンジも派手過ぎず良い案配で、インド趣味に傾倒したかのようなシタールっぽいギターが絶妙な「Witch」、壊れそうなコーラスが愛おしい「Lute and Flute」が特に良い。
アルバムとしてのコンセプトも練られており、曲間をテーマ曲「Dreaming with Alice」で繋ぎながら、トータルな展開のなかで白昼夢的アシッド感覚を見事に表現している。何度も何度もフラッシュバックする「Dreaming with Alice」の断片に堂々巡りの酩酊感が増幅され、どんどん有り得ない蒸留された非現実的理想世界へと聴き手を迷い込ませる。
そしてラストは収録曲(「Song For Wild」か?)の逆回転という、向こう側へ行ってしまった確信犯的大技で締める。聴き手を酩酊させるその手腕があまりに見事過ぎる。陽光降り注ぐ平穏な世界から(Heronと同じく)日常に帰って来れなくなる危険性を孕んでいる。来週からの勤労意欲が間違いなく減退します。

Advertisements