Moritz von Oswald Trio @ 鰻谷 燦粋

Moritz von Oswald Trio, Fumiya Tanaka
2008/7/12
鰻谷 燦粋

初めて訪れる心斎橋は燦粋。ミニマルかつ幅広い選曲の前座DJをひとしきり楽しんだ後、ラウンジでだらだらと雑談に興じる。しばらくすると唐突にMoritz von Oswald Trioのライブが始まった。
Moritz von Oswald Trioの編成は、Moritzがステージ右手でミキサー、シンセ、エフェクター、PowerBookに囲まれており、Max Loderbauerはステージ左手でモジュラーシンセが乗った机に向かう。そして中央のドラムセットにはVladislav Delayが座っている。
以下、オフィシャルに報じられていた今回のメンバー編成。
Moritz von Oswald (Basic Channel) on Electronics & Mix
Vladislav Delay (aka Luomo) on Percussion
Max Loderbauer (Sun Electric, NSI) on Modular Synthesizer

その音楽は、まずMoritzのPowerBookより実にゆっくりと、シンプルに繰り返されるリズムトラックが送出され、そこにMoritzとMax Loderbauerのシンセによる音響が重ねられる。さらにVladislav Delayの叩くメタルパーカッションの軽やかな響きが上モノとして散りばめられる(彼は重いリズムは叩かず、あくまで上モノであることに徹していた)。リズミカルなインプロヴィゼーションによる、Basic Channelの発展形。これらを最終的にMoritzがミキシングし、束ねていたようだ。
ダブ色は思ったほどに強くなく、淡々とした展開で、どことなく現代音楽的ですらある。椅子に座ってじっくり聴きたいタイプの音楽だった。客も客で、少しでも盛り上がれる所をみつけて盛り上がろうとするが、あまり踊れるような音楽でもない。前後のDJがフロア向けのクリックハウスやミニマルテクノだったので、ここまで地味だとコントラストが強烈である。
結論としては勿論楽しめたのだが、この音楽形式に過去のBasic ChannelやRhythm & Sound程のインパクトがあるのかと言えばそれはない。もうMoritzは、踊れるだとか乗れるだとかという理由のみで音楽に取り組んではいないのかもしれない(この日のライブがたまたまそうだっただけかもしれないが)。ミニマルテクノからミニマル・ダブへと、常にこの界隈の音楽に強い影響を与えてきたMoritzのこと、こうやってどんどん変化していく姿勢は肯定したいし、今後も聴き続けてゆきたい。

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