ブロッツマン/八木/ニルセン・ラヴ 〜スピリット&パワー 2008 @ 名古屋 TOKUZO

Peter Brötzmann, Paal Nilssen-Love, 八木美知依
2008/9/30
名古屋 TOKUZO

これで観るのは多分三回目となるペーター・ブロッツマンのライブ。ポール・ニルセン=ラヴ、ペーター・ブロッツマン、八木美知依によるトリオでの演奏。
このトリオでの演奏を観るのは初めてなのだが、ブロッツマンはやはり力強く生々しい演奏であった(ただ、若干元気がなかったが…後述する)。そしてポール・ニルセン=ラヴのドラムも、ブロッツマンの演奏によく似合っていた。彼の細かく破裂するように繰り出されるパルスがブロッツマンのサックスを呼び込む。そのままブロッツマンのテンションをどんどん引き上げながら、ブロッツマンの演奏を軸として手数の多いドラムが表現力豊かに叩かれる。ブロッツマンのサックスが直線的であるとすれば、ニルセン=ラヴのドラムは浮沈が激しく、しかも鋭く速い。(ニルセン=ラヴはJAZKAMERのLasse Marhaugとの作品もあるらしく、その演奏はノイズとの親和性もあるように思えた。)そして八木美知依の箏の演奏も素晴らしく、箏という楽器の表現力の豊かさに驚かされた。八木は様々な方法で箏を演奏するため、音の表情が半端なく豊かであった。その音は時としてベースのようであったり、ピアノのようでもあったりもする。ニルセン=ラヴもいろいろと工夫して奇妙な音色をドラムで出すので、ブロッツマンが休んで、ニルセン=ラヴと八木が掛け合いを展開するパートはとても面白かった。
そして演奏は進み、終盤のあたりで、ブロッツマンとニルセン=ラヴが演奏中に何かを耳打ちする。このあたりでどうもブロッツマンの仕草に苛立ちというか、焦燥のような感情が見て取れた。そのままニルセン=ラヴと八木の掛け合いが激しくなったところへ、ブロッツマンがサックスで切り込み、力づくで押し切る。この時のブロッツマンの演奏には先が分からないような勢い、緊張感があった。こういう、生の感情が剥き出しになるような瞬間は嫌いではない。
ここで最初のステージは終わり。凄かったと思っていると、しばらくしてアナウンスがなされた。残念なことにブロッツマンの肺の具合が良くないので、休憩後のステージは中止するとの内容。体調が悪かったと聞いて、あの終盤の演奏の生々しさに合点がいった。楽器の片付けをするブロッツマンは、やはり元気がないように見え、少しいたたまれない気分になった。フリージャズは身を削るような音楽だが、体は大事にしてほしい。

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