針生一郎講演「はみだした女たち」@豊田市美術館

針生一郎講演「はみだした女たち」
2008/11/9
豊田市美術館

実は針生一郎その人を間近で見るのは初めて。私にとって針生一郎は、何といっても戦後の「美術批評」誌にて武井昭夫と交わした議論に象徴される、「政治と芸術の関係」を考える上で外せない極めて重要な人物である。
講演は開催中の「不協和音」展に出品している作家ついての話で、まず初めに彼女らが「女」「家庭」「結婚」「国」「ジャンル」といったものから、いかにしてはみだしてきたのか(=関係を組み替えてきたのか)について話した。そして続けて各作家とのエピソードについて話す、といったものであった。エピソードのほうはジョークを交えながらの単純に楽しめる内容であった。
これだけなら、まあ楽しい講演で終わったのだが、最後の質問の際に、針生の心に火がついた。質問の内容は失念したが、その質問に対する針生の回答は、各国のビエンナーレ、トリエンナーレについての見解から、針生の持つ政治性を強く感じさせる方向へと進んだ。まさに私が聞きたかったのは、針生のこういった側面である。関係の絶対性において文化を社会的に読むこと、すなわち文化を政治として把握すること。
私も質問してみたいことというか、ぶつけてみたい問いは山のようにあった。それは文化を政治として把握することと、芸術の自律性は対立しないのか。対立するとすれば、そのギャップは針生のなかでどのようにして埋められているのか。今の針生がこの辺りのことをどう考えているのか聞いてみたかった。いつか聞くことのできる機会があると願いたい。

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