オノ・ヨーコ レクチャー《Passages for Light/光の道》@赤レンガ倉庫

2008/11/30
横浜 赤レンガ倉庫

横浜トリエンナーレ最終日、オノ・ヨーコのレクチャーに当選したので観に行ってきた。年の瀬も近づいてようやく運が向いてきたのか。今回のレクチャーには『光の道』というタイトルが付いていたのだが、結論から言うと、特にパフォーマンス含みという訳ではなかった。しかし単純にレクチャーという訳でもなかったのだが。
まず受付では『onochord』とポストカードが配られた。満員の会場に現れたオノ・ヨーコは、立ち振る舞いや観客の拍手などの反応から、やはり単なる現代美術作家以上のカリスマ性を持たされているというか、社会的な象徴として位置づけられているタイプの人物だなと思った。本人もその役割を引き受けようと自覚して振る舞っているように思う。
まずは近年の活動を紹介するDVDを皆で鑑賞。その後は観客と対話するように、かなり長い時間をとって質問を受けるという流れ。レクチャーというより、観客参加のトークと言えばいいのか。精神的な話や、パーソナルな話も多かったが、いくつか面白い話も聞けた。以下、走り書きのメモなので思い違いを含む可能性があることを断ったうえで、箇条書きにて記すと、

・セールスリストに「ライトハウス」のコンセプトが含まれていた。それを見たジョン・レノンに「これを作ってくれ」と言われたエピソードについて
・自分はコンセプチュアルアーティストである。だから現実には出来ないようなことを考える。しかし何十年も経って、それは「イマジン・ピース・タワー」として実現した
・「カットピース」を再演した理由について

といった内容だった。そしてトークを終えると、唐突に会場にアッパーなダンスミュージックが大音量で流れ出し、オノ・ヨーコは観客をステージにあげて一緒に踊りだす。そのまま拍手と歓声のなかレクチャーは終了。見終わって分かったことは、このレクチャーのタイトルである「光の道」とは、象徴としての「イマジン・ピース・タワー」を広めようとする旅路、その象徴を媒介として「愛と平和」のメッセージを広めようとする旅路だったのだということ。

さて、私はオノ・ヨーコの「現実には出来ないようなことを考える」という旨の言葉を、意味を持つものとして受け取った。50年代〜60年代のオノ・ヨーコの作品は、ハードコアなコンセプチュアルアートばかりであった。何らかのメッセージを伝えることよりも、形式としてのコンセプチュアルアートを試すことが優先されていたように思える。そこではコンセプチュアルアートを介して、人間の持っている想像力の広がりを試すことが意図されていた。まだ「愛と平和」だけではなかったのだ。しかし後年、人間の持つ想像力についての試みは「愛と平和」のメッセージと重ね合わされ、その意味合いを大衆化させてゆく。「愛と平和」というあまりに普遍的な概念を、人々の意識の中にイメージさせることが、主たる目的へと変化したのだと言える。それを批判することは簡単だ。しかし、人々が意識のなかにイメージするであろう概念にこそ作家が価値を認めたのだとすれば、その変化も一つの選択といえる。今回のレクチャーは、このようなことを考えるよい機会となった。

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