「Beuys in Japan:ボイスがいた8日間」を観て

「Beuys in Japan:ボイスがいた8日間」を観に水戸へ行く。「貨幣」をめぐるボイスの言説にうんうんと頷きながら記録映像を観る。特に芸大での対話集会の映像はとても興味深かった。ポストモダンの潮流のなかで消費社会へと向かう時代でありながら、左翼的空気感で満たされた集会の空間。いろいろと当時に対する認識を改めさせられた。この対話集会と草月コンサート後の質疑等は、是非ともテキスト化して出版してほしい。現在に対して極めて有効性を持った言説であると思う。(追記:芸大での対話集会については「アールヴィヴァン 14号 特集:ボイス1984.5.29-6.5」, pp.21-32 に収録されている。ただし、学生の質問部分は簡素な形にカットされている。)
また針生一郎のインタビュー映像も、対話集会のなかでのボイスの針生に対するコメントと照らし合わせてみると興味深いものだった。針生は芸術と政治を区別しつつ対応させるが、ボイスは究極的にはそれらを同一視していた。これは針生のある時期の政治への深いコミットを踏まえて把握するならば、簡単には片付けられない問題を孕んでくる。芸術と政治(あるいは社会)の関係が、平板な把握でストリートに回収されることなく思考され続けるためには、例えばこのような差異に着目しなければならないはずだ。

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