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早起きしてSCMSカンファレンスの会場となるホテルへ。ダウンタウンにあるホテルなので、徒歩で行ける距離なのが助かる。到着してみると、私の泊まっているホテルとは違って、高級そうな外観。このホテルで四日間、多くの研究発表やパネルが行われる。日本映像学会よりも規模は格段に大きい。

まずは受付で名札とプログラムをもらう。世話をしてくれた方に言われるままに書類を送っていたので正直よく分かっていなかったのだが、無事手続きが済んでいて一安心。まず、午前中のプログラムではChick Strandのスクリーニングを観た。日本では殆ど知られていないが、西海岸では著名なフィルムメーカーだという(すでに亡くなっている)。会場となる普通のホールにスクリーンと16mm映写機を持ち込んでの上映で、観客は50人くらい。「Angel Blue Sweet Wings」、「Mosori Monika」、「Cartoon le Mousse」を視聴。パネルセッションとして、Dominic Angerame(Canyon Cinema)らが参加するトークも有り。
このように実験映画が、映画とメディアに関わる学会の中で一定の場所を占めているというのは、やっぱり日本ではなかなか考えられない状況だと思えた。数は多くないが、実験映画についての研究が一定数行われているというのは大切なことだ。少なくともアメリカの映画研究においては「映画」という言葉の範疇に劇映画も実験映画も含まれているということが確認できた。
キャベツにシロップがかかっている訳の分からないサラダと、山盛りのポテトとハンバーガーという、いかにもな昼食のあと午後のプログラムとなる。まず小さな部屋でひっそりと行われた「Contemporary (In)appropriations」と題されたスクリーニングを観てから、ロビーで西川智也さんと合流し、しばし雑談。その後、別の部屋に移動してドキュメンタリーアニメーションという野心的な新ジャンル(?)についてのパネルを見た。トム・ガニングが応答者をつとめる初期映画についてのパネルもあった模様。
「Contemporary (In)appropriations」のプログラムは、まあまあの作品ばっかりだったのだが、一本凄まじい作品に出会えた。Scott Starkの「Speechless」。これは立体視写真の左右のイメージを、フレーム単位で交互に映し出して擬似的な3D感覚を発生させ、更に別のイメージをフレーム単位でミックスし、強烈に視覚と認識を混乱させるという作品。用いられるイメージとしては医学書から引用されたグロテスクな性器のアップ…そして草葉や地面といった自然物。観客は性器のイメージが猥雑な意味を剥奪され、奇妙に痙攣しながら自然物と混ざり合ってテクスチャー化する瞬間そのものに立ち会う。(西川さんはScott Starkの家でこの作品を観ているらしく、立体視写真の仕組みについて詳しく教えてもらった。)
ホテルに戻って、近くのタイ料理屋で夕食。客層の濃さに多民族国家の断面を見る。その後、同じホテルに泊まることになった西川さんと、明日午後のスクリーニングの前説について打ち合わせ。西川さんも明日の午前中にワークショップがあるというのに、ご迷惑をかけっぱなし。日付が変わる頃に解散。

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