Aluk Todolo – Finsternis


(Utech Records / CD)

インドネシアのトラジャ族は、「アルクトドロ(Aluk to dolo)」と呼ばれる独自の信仰を有している。精霊崇拝と、豪奢な財を蕩尽する独特の生死観によって知られるこの信仰は、キリスト教の流入以降もトラジャ族の社会の中に根付いているとされる。

バンド名をそこから頂いた、このフランスのバンドは何とも奇妙な音楽をやっている。オカルト・ブラックメタルとも呼ばれるが、しかしながらブラックメタル的なある種の反社会的な象徴性をこのバンドから感じることは殆どない。むしろこれはSunn O))) 以降の文脈にある音楽と理解したほうが話は早いだろう。ドゥームメタル、ドローンアンビエントと呼ばれるような、重苦しさの中で聴き手の意識を混濁させるような、あのスタイルの音楽である(ちなみにヴォーカルは無し)。だからといって彼らは単純にドゥームメタル、ドローンアンビエントの範疇に留まっている訳ではなく、初期のAsh Ra Tempelを始めとしたジャーマンロックからの影響も顕著に聴き取ることが出来る。

本作は1st7インチと1stアルバムを経ての2ndアルバムであり、Neuのハンマービートの様に淡々と反復されるドラミングに刻まれて、ドローン化したベースとギターが長い時間をかけて蠢きながら変化してゆく。本作以前には、まだドラミングやドローンノイズにある種の激しさが存在していたのだが、本作ではその様な派手さは削ぎ落とされ、さらに深く沈降したような印象が強い。もはや各楽曲単位でどうこう言うような音楽ではなくなっており、アルバム一枚を通しての催眠的な反復の中で、擬似宗教儀式のような体験を聴き手に与えてくれる。

本作をリリースしたUtech Recordsはアートワーク・音楽的な指向性において一貫したスタンスを提示しているレーベルであり、こちらも興味深い。
http://utechrecords.com/ 
この後バンドはSaturnalia Temple、Nightbringer、Nihil Nocturneとのスプリットを、ノイズ&ブラックメタルレーベルであるThe Ajna Offensiveからリリースしている。

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