黛敏郎の電子音楽(の感想文)


(engine books)
京都芸術センターでの「黛敏郎の電子音楽 全曲上演会」に合わせて刊行された、黛敏郎の電子音楽に焦点を絞った書籍。北海道から聴きに行くことはできなかったのだが、せめてもの慰めに『涅槃交響曲』をまあまあ大きい音量で聴きながら読了。川島素晴、清水慶彦両氏の論文は、技法に関する専門知識のない門外漢の自分でも、この作品のどこに先見性があったのかを大体理解することができる書き方で助かった。スペクトル学派については、恥ずかしながら全く誤解していた(よって「『涅槃交響曲』への正しい理解にも根ざして」いないということだ)。映画との関連ということであれば、石塚潤一氏の論文も興味深かった。『赤線地帯』の音楽はおぼろげにしか憶えていないが…それ(クラヴィオリン)は、オンド・マルトノの代用であった、そこに音の挙動への関心があったとの見解に納得。そして、川崎さんの全体を俯瞰する論文も勉強になるものだったが、結論近くの「クロノロジカルな歴史に着目した皮相的な見方」への怒りが垣間見える文章に、領域は違えど同意。

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