「キカイ デ ミルコト-日本のビデオアートの先駆者たち-」上映会 /トークショー「メディア芸術の原点を語る」

初期ビデオアートをモチーフとしたドキュメンタリー作品の上映に合わせて、松本俊夫氏、瀧健太郎氏と一緒のトークに出ます。ドキュメンタリーはオーラルヒストリー映像集といった感じの、作家と関係者へのインタヴューで構成されており、各領域の作家たちはビデオという新しいメディアを、各人の方法論によって様々な方向から捉えていたという証言になっています。ところで、サイトの方では名前を間違えられています…。

http://www.kawasaki-museum.jp/display/cinema/?p=392#201202c

特別企画「メディア芸術の原点を探る」

・「キカイ デ ミルコト-日本のビデオアートの先駆者たち-」上映会
・トークショー「メディア芸術の原点を語る」

当館では、1970年代~1980年代に新たな芸術表現として登場してきた「ビデオアート」作品を保存し、そのデジタルアーカイブをすすめてきました。「キカイ デ ミルコト」は、このビデオアートの歴史をたどり、メディア芸術の原点を探るドキュメンタリー作品です。また、監督の瀧健太郎氏、「映像の発見」の著者でありビデオアートの先駆者の松本俊夫氏、メディアアート史研究者の阪本文裕氏をゲストに迎えてトークショーを行い、メディアアートのこれまでとこれからについて語っていただきます。

2011年/カラー/HDV/75分
企画:VCT、ビデオアートセンター東京●監督:瀧健太郎●撮影:大江直哉●出演:阿部修也、安藤紘平、飯村隆彦、出光真子、かわなかのぶひろ、久保田成子、小林はくどう、中嶋 興、中谷芙二子、萩原朔美、マイケル・ゴールドバーグ、松本俊夫、山口勝弘、山本圭吾、和田守弘 他

ラテン語の「ビデオ」の語源である「私は見る」 をキーワードに、日本のメディア芸術の黎明期である初期ビデオアートのアーティストによる証言と作品によって、情報/イメージの現代における「見ること」の重要性を浮き彫りにする作品。

2月26日(日) 12:30-
キカイ デ ミルコト-日本のビデオアートの先駆者たち-

2月26日(日) 14:00-15:00  トークショー「メディア芸術の原点を語る」
ゲスト:瀧健太郎(監督)、松本俊夫(映像作家・日本大学大学院芸術学研究科客員教授)、阪本裕文(メディアアート史研究者)
進行:濱崎好治

2月26日(日) 15:30-
キカイ デ ミルコト-日本のビデオアートの先駆者たち-

会場:川崎市市民ミュージアム・映像ホール(270名)
料金:一般 600円、大学・高校生・シニア(65歳以上)500円
小中学生・市民ミュージアム友の会会員 400円
幼児(未就学児)、障害者手帳をお持ちの方およびその介助者1名、被爆者手帳をお持ちの方 無料

追記:
当日のトークは、松本俊夫氏、瀧健太郎氏、司会の濱崎氏(川崎市市民ミュージアム)、そして私という面子でいろいろと意見を交わした。ビデオが回っていたので、そのうちネットで公開されるのではないかと思う。松本俊夫の『モナリザ』の参考上映を挟みながら、濱崎氏の司会によって、『キカイ デ ミルコト-日本のビデオアートの先駆者たち-』について、そしてビデオアートをめぐる状況や、いかにアーカイヴしていくべきかなど、限られた時間のなかで様々な話題が飛び出した。

この『キカイ デ ミルコト』のなかで、多くの作家によって、違う言葉で繰返し述べられていた最も純粋なビデオの本質、それは再帰的・循環的な性質であると思う。参考上映された『モナリザ』は1973年という早い段階でフィルム/ビデオ/写真/電子的なエフェクトといった技術を駆使した作品であるが、様々なメディアを取り込んで循環的にミックスしてしまうという点で、これもまたビデオの特性が強く現れた作品であったといえる。その辺りのことをトークのなかで上手く伝えられたのなら幸いだが、どうだったろうか。
また、ビデオアートの社会性についても説明を加えておきたかったので、「美術館やホワイトキューブにおけるビデオアートも、社会的な場で使用されるビデオアートも、どちらもビデオの再帰的・循環的な性質をそれぞれのフィールドで実践したものである」みたいなことも改めて強調してみた。

ところで、個人的に本作を観てみて、改めて抱いた感想とは、これはドキュメンタリー作品などではなく、中谷芙二子の『文化のDNA 老人の知恵』(1973)と同質の、一種のビデオアーカイヴではないだろうか——ということだった。中谷の『老人の知恵』とはドキュメンタリー作品ではなく、老人たちへのインタビューを集積してデータベース化することを構想するプロジェクトであったが、これは、社会的フィールドにおいて、ビデオをコミュニケ—ション・メディアとして活用することを目的としていた。よって『老人の知恵』のなかでは「作家」の存在は希薄化され、ビデオを回す人間は社会的な出来事を繋ぐ媒介者としての役割を果たすことになる。本作をそのような試みと同列に捉えるならば、これは「ビデオアーティストの知恵」とでもいうべき、ひとつのオーラルヒストリー集であると、その意義を強調することが出来るだろう。作家本人もトークのなかで、「自分はたまたまそこでビデオを回していた人である」と述べていたが、この希薄性こそがビデオを媒介的メディアとして使用した、初期ビデオアーティストの視点と同じものだったといえるだろう。

という訳で、いろいろ懐かしい方々にも会えた有意義な一日だった。以下、記念写真など。
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最後に一つだけ付け加えると、本作のなかで、和田守弘氏の生前のインタヴューが収録されていたのには驚いた。こういった映像が残っていて、本当に良かったと思う。

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