原稿

「終戦後、国内の芸術・文化のさまざまな領域において、新しい世代によるリアリズムの概念の問い直しが行われたが、この問い直しとは、自然主義リアリズムに対する批判を含みながらも、本質的には当時の政治的・社会的状況を背景とした、社会主義リアリズムへの批判であったといえる。戦後の新しい芸術・文化運動を牽引した評論家の花田清輝は、その批判の中心的役割を担っていたといえるが、彼の言説が復興期の現実を捉え直すための新しいリアリズムの方法として提示したものとは、既存の認識を解体・変容させるアヴァンギャルド芸術の方法であった。そこでは、アヴァンギャルド芸術の方法論が、大衆的な記録性の問題と結びつけられていた。花田の言説の影響下に形成された芸術運動体や、個人的に何らかの影響を受けた作家・評論家は多く存在するが、本論では教育映画・記録映画の領域において花田の言説を展開させたといえる松本俊夫の「前衛記録映画」に関わる言説を取り上げる。」

ある原稿を依頼されて、ずっと書きあぐねていたのだが、それは自分が本当に書きたかったことを、別の原稿に取り置きしたまま、違う言葉で、同じ内容を、新しい原稿として書こうとしていたからだと思い至った。その別の原稿とは、去年査読に落ちて書き直そうと思いながらも、そういう気になれず、丸一年放置していた原稿だった。昨日、原稿の依頼元と電話で話していて、「出さなきゃ意味がありませんよ」と言われたので、出そうと思う。文字数が依頼された分量の二倍以上あるので、相当削らないといけないが、花田清輝の部分を要約すれば余裕、だろう。

Advertisements