「白昼夢—松本俊夫の世界 Phantom/Vertigo Toshio Matsumoto」





カタログ「白昼夢—松本俊夫の世界 Phantom/Vertigo Toshio Matsumoto」
発行年:2012年
発行:久万美術館
価格:2,500円
http://www.kumakogen.jp/culture/muse/book.html

久万美術館で開催されている展覧会「白昼夢—松本俊夫の世界」のカタログが刊行されました。私も本カタログに拙文を寄せさせてもらっています。

本カタログは、記録映画/企業PR映画/劇映画/実験映画/ビデオアート/CMなど、様々な領域を越境してきた映像作家である松本俊夫の作品群を「虚」、「想」、「偽」、「覗」、「罠」という五つのテーマに分けて、豊富な図版と資料写真によって紹介するものです。書容設計は羽良多平吉氏で、二重表紙で背表紙なし、タイトル箔押しという特殊装丁になっています。また、ページの両端にあるパーフォレーションを模したフレームには作品のスチルが時系列に並べられており、ベージ下部のノンブル横には『アートマン』と『色即是空』のフリップブックも付いています。

収録されているテキストは、松本俊夫について二人の松本俊夫が対談するという、松本俊夫による『対談「松本俊夫のプロフィールをめぐって」』から始まり、展覧会全体のコンセプトについて書かれた神内有理氏『〈白昼夢〉の場所』、松本俊夫の記録映画や企業PR映画について書かれた江口浩氏『松本俊夫、その限りなき挑戦』、松本俊夫の劇映画について書かれた吉田拓氏『エディは映画を葬るのか—「薔薇の葬列」に並んで』と、小林昌廣氏『虚実皮膜論—松本俊夫と「修羅」』、松本俊夫の実験映像について書かれた西村智弘氏『実験映像史のなかの松本俊夫』、松本俊夫の言説や運動背景について書かれた拙文『変革する主体—戦後アヴァンギャルド芸術と前衛記録映画』、松本俊夫の映画音楽について書かれた川崎弘二氏『松本俊夫の映画音楽』が収録されています。全体としては、記録映画・企業PR映画、劇映画、実験映像、著作物、映画音楽など、様々な側面から横断的に松本俊夫を捉えるような構成になっています。また、松本俊夫が1957年に「教育映画作家協会会報」において発表した最初期の重要なテキスト『作家の主体ということ—総会によせて、作家の魂によびかける』も再録されています。また、巻末には資料として「作品リスト」、「著作目録」、「年譜」が掲載されています(いくつか誤植がありましたので追って訂正します)。

装丁も内容も、全く妥協のないカタログとなっていますので、何卒よろしくお願いします。本カタログは、展覧会場とナディッフ各店にて販売されています。遠方の方は、久万美術館から通信販売にて購入可能です。

・『ごあいさつ』高木貞重
・『対談「松本俊夫のプロフィールをめぐって」』松本俊夫
・『〈白昼夢〉の場所』神内有理
・『松本俊夫、その限りなき挑戦』江口浩
・『エディは映画を葬るのか 「薔薇の葬列」に並んで』吉田拓
・『虚実皮膜論 松本俊夫と「修羅」』小林昌廣
・『実験映像史のなかの松本俊夫』西村智弘
・『変革する主体 戦後アヴァンギャルド芸術と前衛記録映画』阪本裕文
・『松本俊夫の映画音楽』川崎弘二
・図版/虚、想、偽、覗、罠
・再録/『作家の主体ということ 総会によせて、作家の魂によびかける』松本俊夫(1957)
・作品リスト
・著作目録
・年譜
(B5、144p、特殊装丁、日本語)

追記:自分の文章を読み返していて、「主体内部の変革」っていう書き方が、いまいち言葉足らずだったかな、と思えてきた。これは、例えば「社会とはこういったものである」といったような、主体がそうだと捉えているものの見方や、固定した世界の捉え方を突き崩して、変革してゆくという意味合いです(そして、その変革とは外部からやってくる思いがけない物との出会いによってもたらされる)。今思うと「主体内部の(認識、ものの見方の)変革」とした方が良かったような、そうでもないような…。

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