レ・ザンスタン・ビデオ:「ビデオ・アートと地中海」

レ・ザンスタン・ビデオ:「ビデオ・アートと地中海」
2013年2月18日(月)16時半~18時
会場:シネマート六本木(六本木駅より徒歩約2分)
料金:入場無料
http://www.institutfrancais.jp/tokyo/events-manager/lesinstantsvideo-roppongi/

レ・ザンスタン・ビデオの本拠地であるマルセイユという都市は、地中海の国々に開かれた多文化が交差する場所であり、このプログラムでは地中海の国々のビデオ作品が集められていた。全体的に見ると、現代美術寄りのアマチュア的なビデオ作品が揃っていたという印象であるが、これはマーク・メルシエの説明によると、容易く使用できる安価なビデオ機器の普及が地中海の国々の人々にとって、ある種の社会的な発言の手段となったことを反映している。だからといってこのプログラムのなかで、ダイレクトに社会批判を行うような作品は、シャリーフ・ワーキドの『シック・ポイント』のみであるが、例えばズリカ・ブアブデラの『踊ろう』や、ラニア・ステファンの『ダメージ』のなかに隠喩されたものを思うならば、ビデオが社会的な発言手段として、これらの国の人々にどのように用いられたのかを了解することが出来るだろう。また、公共空間のなかで身体的なダンスを繰り広げるタイプの作品、例えばマーク・メルシエの『都市の闘牛』や、モハナド・ヤクビの『夜のリコ』なども、その内にある種の社会性をもっているといえる(『都市の闘牛』は作品として意図されぬダンスであるが)。以下に、ふたつの作品を国名込みでレビューしておく。

Chic Point from Sharif Waked on Vimeo.

シャリーフ・ワーキド『シック・ポイント(イスラエルのチェックポイントに向かうためのファッション)』(パレスチナ, 2003)
前半ではダンスミュージックに乗せて、腰回りが露になったスーツ、シャッター式に腹部を露出させるシャツなど、奇妙なファッションショーが展開されてゆく。後半では、ガザ地区などでイスラエル兵によって行われているチェックポイント(国境検問所)での審査(腰回りや腹部を兵士に見せることで武器や爆弾を所持していないことを示す)の様子が静止画像で静かに映し出されてゆく。

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ズリカ・ブアブデラ『踊ろう』(アルジェリア/フランス, 2003)
女性がベリーダンスの衣装を身に着けるが、その三枚の布は赤、白、青のフランス国旗の色である。そして女性は、フランス国歌に乗せてダンスを踊る。この一連のパフォーマンスが固定カメラによって、女性の腹部のみを映し続けるかたちで進行してゆく。フランス在住のアルジェリア人という作家のバックグラウンドと、フランスとアルジェリアの歴史を考えるならば、捩じれた意味を持つビデオ作品だといえる。しかし作品そのものからは、どことなく楽天的な印象を受ける。

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