ドナルド・リチー氏死去

戦争ごっこ / Wargames(1962)

ドナルド・リチーさん死去 日本映画を欧米に紹介 – 47NEWS(よんななニュース)
朝日新聞デジタル:ドナルド・リチーさん死去 黒沢・小津らを海外に紹介 – おくやみ

映画評論家であり、実験映画作家でもあったドナルド・リチー氏が亡くなった。一般的にリチー氏は日本映画の海外への紹介者として知られている。それに加えて、実験映画の領域におけるドナルド・リチーとは、『戦争ごっこ』や『死んだ少年』に代表される、性や死のイメージを潜在させる秀逸なフィルムを残した実験映画作家であり、海外の実験映画の動向をかなり早い段階で日本に伝えた媒介者である。また、飯村隆彦・石崎浩一郎・大林宣彦・金坂健二・佐藤重臣らによるフィルム・アンデパンダンにも関わっており、50年代から60年代の新しい映画運動において重要な役割を果たした人物でもある。

4年ほど前、私は一度だけ、リチー氏に個人的な聞き取り調査を行わせて頂いたことがある。六本木でリチー氏が出演するイベントが催された際にいきなり声をかけてお願いしたのだが、面識のない私にも気さくに対応して下さって、後日、上野のスタバで待ち合わせて一時間ほどお話を聞かせて頂くことになった。そこで幼少期の映画との出会い、日本に来られた理由、映画制作を止めた理由など、いろいろなことを質問させてもらった。しかし、そのとき強烈に印象に残ったのは映画の話ではなく、若き日のリチー氏が戦後の日本に新しい理想を持ってやって来たときの話と、現在の日本社会をどう感じているかという話だった。「現在の日本社会をどう思いますか?」という私の最後の質問について、かすかな怒りをこめて「戦争の前と同じだよ」と返したリチー氏の姿は、ある種の純粋な人柄を私に印象付けた。心からお悔やみ申し上げます。

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