Tony Conrad And Charlemagne Palestine ‎– More Aural Symbiotic Mysteries From Belgie

Tony Conrad and Charlemagne Palestine - More Aural Symbiotic Mysteries From BELGIE
(Taping Policies , DVD)

本作は、Taping Policiesからリリースされたシャルルマーニュ・パレシュタインとトニー・コンラッドのコンサートを記録したDVDである(2011年10月、ベルギーにおいて収録)。タイトルは「More Aural Symbiotic Mysteries From Belgie」と題されているが、これは2006年にリリースされた、この二人の共演盤である「An Aural Symbiotic Mystery」から取られたものであろう。

ピアノに向かい合うパレシュタインと、ヴァイオリンを手にして佇むトニコン。パレシュタインの傍らに置かれたシンセが持続音を発生させるなか、トニコンはヴァイオリンをセッティングし、ゆっくりと演奏を開始する。軋むようなヴァイオリンの音色が、シンセの音色と混じり合う。その様子を眺めながら、パレシュタインはグラスに入った酒を口に運び、グラスの口を指でなぞって音を発生させる。やがてパレシュタインがピアノの鍵盤をミニマルに連打し始めることで演奏は本格化し、幾つものドローンのレイヤーが溶け合いながら浮き沈みを繰り返すようになる。

やがて、中盤において演奏は変化を見せる。トニコンはテーブルに置かれた自作楽器(棒に弦を張ったもの)を演奏し始め、パレシュタインは鍵盤の連打を控えながら言語以前のヴォイスを発し始める。トニコンが点描的な演奏(弦を軽く叩くことによる)に転じたことで、シンセのドローンだけが演奏の基底となり、ここで全体の構成としては緩急がつくような形となる。しばらくしてトニコンは再びヴァイオリンを手にして立ち上がり、弦の引っかかりによる断続的なノイズ音を発し始める。それに呼応するようにして、パレシュタインもやや強めに鍵盤を連打してモアレ状のドローンを演奏する。やがてトニコンは軋むようなヴァイオリンの演奏に回帰し、シンセによるドローンのなかで浮き沈みを繰り返す。これに対して、パレシュタインはピアノとヴォイスを交互に使い分けながら終盤の演奏に表情を付け、この演奏を締めくくる。

全体を通して振り返るならば、40分ほどの演奏を、巧妙に見せ場を作りながら構成してみせる二人の手腕は見事であると思えるが、少し予定調和な気がしないでもない。しかし、このようなドローンによる音楽の中心となっているものは、音色に陶酔(あるいは麻痺)するなかで、不意打ちのように現れるミクロな瞬間における持続的なレイヤーの浮沈を、拡大された聴覚上の経験として再発見することにあると言える訳で、全体の構成を取り上げてどうこう言うのも野暮な話であろう。

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