「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針」についてのパブリックコメント

昼食の時間を削って、法案が成立してから一年以上も棚晒しにされていた「子ども・被災者生活支援法」に関する復興庁へのパブリックコメントを書いた。こんな感じでいいのだろうか…。

8月30日に復興庁が公表した被災者生活支援等施策の推進に関する基本方針は、「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」の理念を歪曲させたものであるといえます。根本匠復興相は線量による画一的な線引きは「地域を分断する」と述べました。しかし、この法は東電・国の不作為による原発事故によって無用な追加被曝を受けた個人に対し、公平な支援を行うものです。地域で区別することによって、追加被曝する線量は変わらないのに、受ける支援の内容に差が出てしまうケースこそが、不平等と地域間での分断を呼び起こすものであるということを認識すべきです。そして、線量による線引きを行う場合、追加線量値は、ICRP Publication.111の総括末尾にあるように、国際的な経験の中で合意された値であるといえる1mSv/年とするのが妥当であることは言うまでもありません。

追加線量値1mSv/年を超過する場所に居住するかどうかは、リスクを勘案しながら当事者個人が選択すべきことであり、性別・年齢によって様々な判断があり得ます。それに対して行政が行うべきことは、帰還・居住することを選択した場合でも、移住することを選択した場合でも、双方不平等のないように支援を行うことです。これは同法の第2条に明記された理念です。帰還・居住することを選択した方々は決して東電・国の不作為を許容した訳ではなく、移住することを選択した方々は好き好んで移住した訳ではないのです。

また、この問題に関して国は居住者の選択を最大限尊重すべきで、国が追加線量値1mSv/年を超過する場所への帰還を先んじて促すような真似をすべきではありません。基本方針に合わせて発表された施策は、その大半が既存施策パッケージを踏襲したものでした。しかし、施策の設定に際しては、同法の第5条に基づいて、当事者である居住者の要望を取り入れるための意見聴取会を県内県外の自治体レベルで複数回開催すべきであり、そこで集約された人々の意見を反映させたうえで施策の設定を行うべきです。

「帰還・居住・移住」というどの選択であったとしても、無用な追加被曝を受ける居住者は、公平に支援を受ける権利があると思う方々や、私みたいに暇な方々は、一丁パブコメ書いてみてはどうでしょうか。これは、原発に賛成とか反対とかいった個人の信条とは、あまり関係がない話です。

復興庁が行っているパブリックコメント募集の提出先はこちら(9月13日まで)。
「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(案)」に対する意見募集について

以下、参考まで。
・東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律(子ども・被災者生活支援法)
・被災者支援法:復興庁、議事録作らず 会議資料も開示せず(毎日新聞)
・記者の目:骨抜きの原発被災者「支援法」=日野行介(毎日新聞)
・動かない被災者支援法 なぜ“放置”(NHK)

Advertisements