「変革する主体 戦後アヴァンギャルド芸術と前衛記録映画」PDF版

刊行から一年以上経ったことなので、松本俊夫展のカタログに掲載された「変革する主体 戦後アヴァンギャルド芸術と前衛記録映画」をPDFで公開してみます。松本の前衛記録映画に関わる言説を1950〜1960年代のアヴァンギャルド芸術や記録性をめぐる議論に布置させ、そこに立脚したうえで、1970年代以降の松本の言説についても概説した論文です。元々は別の論文として準備されていたけど、いろいろあって陽の目を見ないままお蔵入りになりかけて、久万美術館のおかげで姿を変えて世に出たという紆余曲折ある論文で、思い入れがあります。元々の論文では第一章がもっと膨大で、徹底的に花田清輝の言説について論じていたんですが、そこは大幅にカットして、初見者向けの解説色を強めるために、末尾にてその後の松本の言説について加筆しました。
「変革する主体 戦後アヴァンギャルド芸術と前衛記録映画」PDF版

カタログにはこの他にも多数の論考と、初出となる一次資料の写真、松本の最初期テクスト、フィルモグラフィー+ビブリオグラフィーなどの資料が満載なので、まだ残部があるうちにどうぞ。羽良多平吉のエディトリアルザインが、とにかく最高です。以下のウェブサイトの通信販売にて購入できます。
久万美術館の出版物

追記:
ツイッターで言及して下さった方がいるみたいで、ありがとうございます。花田清輝の文脈によって媒介される「アヴァンギャルド芸術」や、松本俊夫の活動のなかに一貫して存在する実験精神を、1950年代の社会的・政治的条件と切り離して捉えることはできないというのが本論の基本的な考え方です。その辺りの視点が1990年代以降の言説からは完全に欠落してると思う訳で、そういった言説の固定化を、ちょっとでもこの論文によって解きほぐすことが出来れば幸いです。震災・原発事故以降の社会の空気を踏まえて「実験場 1950s」がかなり頑張ってくれたんで、再び文脈は変わりつつあると思いますが。あと、最後の「外部世界に対する、主体の変革」は若干言葉足らずだったので、「外部世界に対する、主体それ自体の変革」として読んでもらうと、結論が分かりやすいと思います。

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