A SPELL TO WARD OFF THE DARKNESS BY BEN RUSSELL & BEN RIVERS

ベン・ラッセルとベン・リバースによる『A Spell To Ward Off The Darkness』が、今年のイメフォで上映されるらしい。個人的に他のプログラムにはあまり興味が持てないのだが、この作品とジャック・スミス特集は観に行きたいと思っている。ところで、ゲリンやアレクセイ・ゲルマンについての愛を述べるシネフィル的教養に裏打ちされた言葉に比べて、こういった実験映画について述べられる言葉は圧倒的に少ないような気がする。実験映画ということであればジャック・スミスも認知されているとはいい難いが、一部にコアなファンがいるので、あっちはその筋の方々にお任せしておけば大丈夫だろう。ということで、このブログでは『A Spell To Ward Off The Darkness』について、2012年に書いたエントリーを掘り起こしておきたい。以下、2012年3月のエントリーより。


ベン・ラッセルとベン・リバースがブラックメタルをモチーフとした映画を撮っているらしい…と噂に聞いて、随分な時間が流れたが、どうやらこれがそうらしい。

A SPELL TO WARD OFF THE DARKNESS (TRAILER) from Ben Russell on Vimeo.

ベン・リバースのフィルムは一見するとドキュメンタリー的だが、個人の内面における現実感や世界像の認識を、じわじわと奇妙に歪めてゆくような性質を持っている。そこで映画は、辺境や奇妙な人々を被写体としながら、フェイクも織り交ぜて巧妙に語られる。そしてベン・ラッセルのフィルムは、近年は特に、対象を淡々と観察するようなジャン・ルーシュ的な傾向を強めてきている。この二人が持っているブラックメタルに触発されたイメージは、ステレオタイプなそれではなく、相当に奇妙な実験映画として立ち現れるはずだ。

解説によると音楽はLiturgyとLichens。前者はブラックメタルといっても、社会的・政治的要素を持たないタイプのブラックメタルであり、その点では私の関心から微妙に外れるのだが、音楽としては申し分ない。後者はドローンを制作している作家であり、トレイラーの人物でもある。(Discogsを参照。


読み返してみて思ったのだが、「ブラックメタル」というテーマが、教養豊かな感性からは何だか誤解を受けそうなキワモノ的なテーマであるように思えてきたので、後日書くつもりのレヴューのなかで、ちょっと詳しく述べます。

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