フルクサス・イン・ジャパン2014 #4 エリック・アンダーセン

フルクサス・イン・ジャパン2014 #4 エリック・アンダーセン
東京都現代美術館 4月18日

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この日は、第一部と第三部はコンサート形式で、第二部は観客参加のイベント形式で進行した。ちなみにコンサートには、巻上公一や寒川晶子ら8名の演奏者(ヴァイオリン×2、チェロ、サックス、トロンボーン、クラリネット、ラッパ、笙)が揃えられていた。まず第一部から説明する。

1:ラ・モンテ・ヤング / デヴィッド・チュードアのためのピアノ曲 Piano Piece for David Tudor #1 (1960)
暗闇のなか二人のパフォーマーが現れ、グランドピアノの椅子を脇にのける。次に別の二人のパフォーマーが稲穂、ニンジン、リンゴが入った木箱を運んできて、椅子の場所に置く。最後に別の二人のパフォーマーがバケツを持ってきて、椅子の傍らに置く。ただそれだけのイヴェント作品。

2:ラーリー・ミラー / 私だ C’est Moi (1968)
エリック・アンダーセンが指揮台の前に立ち、演奏家が一人一人登壇してゆく。コンサートらしい雰囲気。しかし、全ての演奏者が揃ったところで、指揮者が指揮を出すと、演奏者が一人ずつ「私だ!」と叫んでゆく。最後に全員で再び「私だ!」と叫ぶ。

3:エリック・アンダーセン / Opus 600 (1962)
ステージ右端から一人ずつ順番に引き延ばされた持続音を発してゆき、全ての楽器が重なり合ったドローンが形成される。最後は一斉に演奏を止める。

4:ジョージ・マチューナス / 唇と舌 Lips and Tongues (1962)
演奏者全員で、楽器ではなく口唇による破砕音を発するという楽曲。

5:ラ・モンテ・ヤング / コンポジション 1960 #7 Composition 1960 #7 (1960)
指揮者は演奏者の背後を徘徊し、任意の演奏家の肩に手をおいて演奏開始(および転換)の指示を出してゆく。演奏者は次の指示が出されるまで、引き延ばされた単一音や、短いパッセージを繰り返す。全体的な印象としては、微細な衝突を内包したドローンになっていた。最後は一斉に演奏を止めて終了。

6:塩見允枝子 / バウンダリー・ミュージック Boundary Music (1963)
演奏者全員で、通常の演奏方法によらない方法で、楽器から微細な音を発する楽曲。ボディを指で叩いたり、弓と弦をかすかに接触させたり、楽器を分解したり。

7:エメット・ウィリアムス / 数え歌 Counting Song (1962)
演奏者全員が、バラバラに観客を指差しながら人数を読み上げる。

8:靉嘔 / はひふへほ Ha Hi Fu He Ho (1976)
演奏者全員が一斉に爆笑する。最後は一斉に行為を止めて終了。

9:ジョージ・ブレクト / シンフォニー No.3 Symphony No.3 (1962)
演奏者全員が5分ほどの時間をかけて、タイミングを揃えながらゆっくりとしたモーションで椅子から滑り落ちる。

10:刀根康尚 / クラッピング・ピース Clapping Piece (1963)
指揮者の大振りな指示に従って、演奏者全員で拍手をおこなう。それぞれが個別のルールに従っているので、早い拍手、ゆっくりな拍手、停止などが混在した演奏となる。

11:アリソン・ノールズ / シャッフル Shuffle (1961)
足踏みをしながら歩くという作品。演奏家たちはそのまま退場する。

第一部は、上記11曲が休憩なしで演奏された訳だが、それぞれの作品が独立したものではなく、相互に関連し合った組曲のような構成となっていた。

12:エリック・アンダーセン / Opus 135-0022 (2010)
第二部では、コンサート的な雰囲気が一転して、ステージ上には三人の白衣の女性が立ち、三台のソファが並べられている。そして作家は観客に対して二分間のマッサージを受けるように促す。マッサージを受けられる箇所は、それぞれのソファごとに、耳たぶ、親指、アキレス腱の三カ所。観客は好みの列に並び、身体の部位の左右どちらをマッサージしてもらうか選択する。ステージ横には電動のターンテーブルも置かれ、乗りたい人は自由にこれに乗ることも出来る(ターンテーブル上で服を脱いでもよいと作家は指示する)。正面のスクリーンには、ターンテーブルに乗ったヌードモデルの映像がループで流される(股間はスクリーン前に置かれた黒い小箱によって、物理的に遮光されている)。そして、ムーディーなBGMまで流されて、奇妙なラウンジ空間が演出される。途中で、観客の参加によって「ロック・ザ・ニー」と題された二人一組で膝を突き合わせるダンスも行われた(私も見知らぬスタッフの方と踊った…)。行列は途切れることなく、一時間ほどイヴェントが続けられた。

13:エリック・アンダーセン / Opus 1961 (1961)
第三部では、まずピアノの鍵盤の前に四人の演奏家が立つ。そして一人の奏者が白盤を左端から右に向かって一音ずつ音高を上げながら弾いてゆく。そしてひとつのターンのおわりに、そこまでの鍵盤を全部弾く(このアクションでは、他の奏者も協力する)。そして最初に戻り、また左端より一音ずつ音高を上げながら弾いてゆくことを繰り返す(ターンが積み重ねられるごとに、前のターンにひとつだけ音が加わえられる)。これを鍵盤の右端に達するまで延々繰り返す。長時間に及ぶ、豊かな退屈に満ちた演奏だった。

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