上映会予告「映像芸術の世界 松本俊夫特集」

来月は愛知県美術館だけでなく、川崎市市民ミュージアムでも松本俊夫著作集成第一巻の刊行にタイミングを合わせて「映像芸術の世界 松本俊夫特集」と題された特集上映が行われる。こちらは、すべて川崎市市民ミュージアム所蔵の、コンディション良好な16mmプリントでプログラムが組まれている。

映像芸術の世界 松本俊夫特集
日時:12月5日 11:00〜Aプログラム 14:00〜Bプログラム
12月6日 11:00〜Bプログラム 14:00〜Aプログラム
会場:川崎市市民ミュージアム 映像ホール
料金:一般600円、大学・高校生・65歳以上500円、小中学生・市民ミュージアム友の会会員400円、幼児(未就学児)、障害者手帳・身障者手帳・療育手帳をお持ちの方およびその介助者1名、被爆者手帳をお持ちの方無料。 スカラチケット(10枚綴り回数券・有効期限なし)4,800円。

戦後映像芸術を切り拓いた松本俊夫の初期作品をはじめ、1974年にニューヨーク近代美術館で初めてのビデオアートのシンポジウムで上映された「モナ・リザ」等を、当館所蔵の16㎜フィルムで公開します。
映像ホール内の入り口にて、16mmフィルムから2Kデジタルに変換した「モナ・リザ」を展示します。

松本俊夫(1932〜)
映像作家・映画理論家・映画監督。東京大学文学部美学美術史学科卒業。「松本俊夫著作集」全四巻(森話社)刊行開始。

今回の特集上映で取り上げられる作品は、以下の17作品である。

Aプログラム
・松本俊夫『春を呼ぶ子ら』 (16mm, 21min, 1959)
・松本俊夫『安保条約』(16mm, 18min, 1959)
・松本俊夫『石の詩』(16mm, 8min, 1963)
・松本俊夫『メタスタシス=新陳代謝』(16mm, 8min, 1971)
・松本俊夫『エクスパンション=拡張』(16mm, 14min, 1972)
・松本俊夫『モナ・リザ』(16mm, 3min, 1973)
・松本俊夫『アンディ・ウォーホル=複々製』(16mm, 23min, 1974)

Bプログラム
・松本俊夫『ファントム=幻妄』(16mm, 10min, 1975)
・松本俊夫『色即是空』(16mm, 8min, 1975)
・松本俊夫『アートマン』(16mm, 11min, 1975)
・松本俊夫『ホワイトホール』(16mm, 7min, 1979)
・松本俊夫『氣=BREATHING』(16mm, 30min, 1980)
・松本俊夫『CONNECTION=コネクション』(16mm, 10min, 1981)
・松本俊夫『シフト=断層』(16mm, 10min, 1982)
・松本俊夫『フォーメーション=形成』(16mm, 10min, 1983)
・松本俊夫『スウェイ=ゆらぎ』(16mm, 8min, 1985)
・松本俊夫『エングラム=記憶痕跡』(16mm, 15min, 1987)

石の詩アンディウォーホルファントムコネクション(上段より、『石の詩』『アンディ・ウォーホル=複々製』『ファントム=幻妄』『CONNECTION=コネクション』)

比較的知られているメジャーな松本作品が多いが、これだけの数の作品をまとめて、しかもフィルムで上映するというのは、2006年の展覧会「眩暈の装置」以来の極めて珍しいことである。さらに付け加えておくならば、『春を呼ぶ子ら』『安保条約』『氣=BREATHING』『フォーメーション=形成』辺りの作品は、上映される機会が決して多いとはいえないので、この機会を逃さずにスクリーンで観ていただきたい。


また、12月5日のBプログラムの後には、トークイベント「映像芸術の保存と公開 フィルムとデジタルのジレンマを解く」も開催される(松本監督の出席は都合によりキャンセルとなりましたので、ご注意ください)。

私も登壇予定ですが、どうなることやら不安が…。とりあえずテーマは「映像芸術の保存と公開」ということなので、過去に東京都写真美術館、福岡市総合図書館、フィルムセンターの方々とお話しさせて頂いて、個人的にリサーチしてきたことの総論と、実際にPJMIAとして取り組んできた実験映画/個人映画やビデオアートの保存と運用について、お話しさせて頂こうかと。その際に論点となるかもしれない事柄を思いつくままに挙げるならば、以下のような感じだろうか。

1:「映像作品の保存はフィルムで」という方針が、限られた予算の中でどこまで可能なのか
2:現状、妥協点として採用しているHDデータ(prores)が、どこまで運用に耐え得るのか
3:作品において絶対的に担保されなければならないものは何か
4:どの作家、どの作品を優先させるのか
5:各機関の役割分担、美術側と映画側の意識差

会場では、2KのHDデータに変換した「モナ・リザ」もディスプレイ展示されるそうなので、それも観てもらいながら、「来たるべきアーカイブ」についての議論ではなく、とにかく実践的な意見交換させてもらえればと思います。


追記:メモ書き程度のものですが、当日使用したキーノートを、少し手直ししてアップしておきます。
・川崎市市民ミュージアム「映像芸術の保存と公開 フィルムとデジタルのジレンマを解く」(PDF)

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