出版予告「記録映画 復刻版 全6巻・別冊1」

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「記録映画 復刻版 全6巻・別冊1」
不二出版書籍紹介「『記録映画』【復刻版】全6巻・別冊1」
カタログ(推薦文:川本博康、マーク・ノーネス、松本俊夫 PDF)

『記録映画』は記録映画作家協会(1960年まで「教育映画作家協会」)が1958年6月から1964年3月までに全65冊を刊行した雑誌である。 創刊号「発刊のことば」には、『記録映画』は「記録映画、教育映画作家なかまの共通の広場」「作家と教育映画界との交流の場」「作家と観客との結びつきの場」「文化の各パートの専門家や外国の記録映画界との交わりの場」とある。これらの言葉のように、映画監督はじめ映画関係者、作家、芸術家、観客が多数寄稿し、座談会、対談も充実している。 ドキュメンタリー映画のみならず、教育映画・劇映画・テレビドキュメンタリー・文学・美術・音楽・写真など、様々な領域の諸動向の線は、その全てが何らかの形で雑誌『記録映画』という点を通過していたことが分るだろう。

〔主要執筆者〕朝倉摂、厚木たか、阿部進、粟津潔、飯村隆彦、池田龍雄、石堂淑朗、岩崎昶、岩淵正嘉、江藤文夫、大島渚、小笠原基生、小川徹、加納竜一、久里洋二、黒木和雄、定村忠士、佐藤忠男、清水邦夫、渋沢龍彦、白坂依志夫、関根弘、滝口修造、武井昭夫、竹内健、竹内実、谷川俊太郎、谷川義雄、玉井五一、寺山修司、東松照明、徳永瑞夫、野田真吉、野間宏、花田清輝、羽仁進、羽田澄子、針生一郎、東陽一、藤原智子、松尾一郎、松川八洲雄、松本俊夫、山際永三(高倉光夫) 、山田和夫、湯浅譲二、吉田喜重、和田勉

◎解 説=佐藤洋、阪本裕文
◎推 薦=川本博康、マーク・ノーネス、松本俊夫
◆体 裁=B5判・上製・総2,694頁
◆揃定価=本体150,000円+税
◆別 冊=解説・総目次・索引 ※別冊のみ分売可 本体2,000円+税 ISBN978-4-8350-7826-7

・第1回配本(第1巻~第3巻・別冊1)本体75,000円+税 ISBN978-4-8350-7817-5 2015年12月刊行
・第2回配本(第4巻~第6巻)本体75,000円+税 ISBN978-4-8350-7822-9 2016年5月刊行

不二出版より、図書館や大学研究室向けに、記録映画作家協会の機関誌である「記録映画」の復刻版が出版される。同誌は戦後日本のドキュメンタリー映画史を研究する上での基本資料でありながら、全号を所蔵している図書館が存在せず、そのために歴史研究において、ある種の空白領域を生み出されてきたことは否めない。それは戦後日本のドキュメンタリー映画についての言説が、小川紳介や土本典昭の活動を中心軸とする形で組み上げられてきたことからも窺える。しかし、それらのアプローチがどのような歴史的文脈のなかで生じたのかを考え直すならば、機関誌「記録映画」を避けて通ることはできない。今回の復刻によって空白領域はようやく埋められる。このような記録映画の展開は、実験映画を始めとする1960年代の映画の変革とも一体化したものであった。

蛇足ながら付け加えておくと、今回の復刻に際しては読者にお願いしたいことがある。それは、共に解説を書いた佐藤洋氏とも共通の見解なのだが、記録映画の運動内部における立場や意見の違いを単純化して捉えてほしくないということである。どれが正しく、どれが誤りであるといった単一の観点では、この時期の映画運動の多層性や、作家個人個人の思考は見通せない。この「記録映画 復刻版」を手にする今日の読者に求められているものは、「記録映画」に記された言葉とその実践としての作品をつぶさに再検証しながら、ここに生じた立場や意見の違いを否定的なものとしてではなく、集団的な運動の豊饒さにおいて捉える姿勢だろうと思う。このことに留意のうえ、カタログをダウンロードして、川本博康氏、マーク・ノーネス氏、松本俊夫氏の推薦文を重層的に読み込んでみてほしい。

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